こんにちは。えいきち(@Eikichi_WLI)です。
ICPのトークン価格考察に役立つKyleさん(@kylelangham)の翻訳記事として、
今回は「Supply Analysis Update」を日本語翻訳しました。
シードラウンドの売り圧による循環供給量が少しずつ落ち着いてきて、ぼちぼちICP価格が上向きになるかも?と推測できるタイミングで、Kyleさんが市場への供給分析記事が出されました。
どう分析しているのか、とても興味深い内容になっています。
また、出来る限り一次情報を追いかけ、補足情報を追記しつつ翻訳しました。
それではどうぞ。
背景
1月上旬、ICPの供給に関する記事を書きました。
また、今後数年間のICPの需要と供給の全体像を把握するために、需要と供給とICP価格分析に関する記事も書きました。
最初の供給分析から約3ヶ月が経過したため、分析が現在も正しいかどうか、近い将来に何が起こるか、ICP価格に影響を与えうる要因を検証してみましょう。
現在の状況
前回の記事では、ICPの循環供給量 (circulating supply) が増える3つの供給源について解説しました。
1.ノードオペレータに支払われるノード報酬
2.NNSのICP-stakerに支払われるガバナンス報酬
3.NNS上のニューロンで溶解しているICP
1月と2月のノード報酬は、それぞれ44kと79k ICPでした。
これは、2021年の月間60k ICPとほぼ同じ。
3月はほぼ間違いなく60k ICP を超えるものの、ノード報酬はまだ循環供給への主要な供給源ではありません。
2022年にガバナンス報酬としてミントされたICPは、今のところ月平均916k ICPです。
そのうち何パーセントが merged maturity としてNNSに再ステーキングされ、何パーセントが取引所に送られたかはわかりません。
しかし、2月中旬の大きなガバナンス変更施行後、ミント量が若干増加したことは確かです。
ガバナンスに積極的に参加しているNNS参加者は、自分のmaturity でアクションする可能性が高く、一方、maturity を蓄積させている参加者はガバナンスへ投票したり、ニューロンをフォローする可能性は低いと思います。
この記事(ガバナンス報酬でAPY76%)を目的に、ガバナンス報酬としてミントされたICPうち、50%が取引所で販売されていると仮定すると、約460k ICP/月が流通供給に加えられていることになる。
ちなみに私は、毎週merge maturityを行っています。
最後に、ICPの循環流通量に関わる主要なドライバー(~90%)は、NNSから溶解するICPです。
2022年の最初の3ヶ月は、平均560万個のICPがNNSから溶解しました。
この期間を、以前の記事で「ゾーン1」と名付けています。
これは主にニューロン4008~4012が原因であり、それぞれ300万以上のICPが含まれていました。
幸いなことに、ゾーン1からゾーン2への移行まで、あと1ヶ月半しかありません。WAGMI

例えば、ニューロン4011,2012はこちらのとおりで、300万以上のICPが含まれています。

また、ニューロン4012は、2022年4月11日にDissolvedになる予定です。
元データは、IC NETWORK STATUSの”Neurons”です。
次の展開
通常、溶解したニューロンがICPを排出するのに4週間ほどかかるため、ゾーン1は5月下旬まで続く可能性があります。
しかし、5月下旬以降、NNSから溶解するICPが大幅に減少し、1ヶ月あたり200万ICPの減少が見られるはず。
ゾーン1では、米ドルベース、ビットコイン、イーサリアムとの関係が、相対的にICP価格に影響を与え、価格が約40ドルから17,18ドルへに下落した。
そのため、ゾーン1からの離脱は、ICPの価格に良い影響を与えると予想されます。
では、どの程度のインパクトがあるのでしょうか?
Zone 1以前は、ICPは40ドルから60ドルの間で推移していました。
Zone1が終わると、40~60ドルより更に高い価格で取引される十分な理由があります。
一方で、低い価格で取引される理由もあります。
ICPが40~60ドルより高く取引される理由
需要
ゾーン 1 に入る前は、ICP の需要要因はごくわずかでした。
しかし、ゾーン1に入って、NFTのマーケットプレイスでのICPの需要が急速に高まっています。
また、Sonic Appが過去2ヶ月で6万ドル以上のICPを消費しており、DeFiの需要が高まっています。
合計すると、Zone 1に入る前の需要よりも、Zone 1から出た頃の需要の方が、毎月約5万ICP多くなっているのです。
そして、この数字は急速に増加しています。
技術的進歩
Dfinityが、キャニスターで保持するICPやビットコイン統合の開発者向けプレビューなど、Titaniumアップデートにおける主要な取り組みを実現しています。
また、第2四半期初頭に生産規模の展開を予定していることから、技術的リスクは過去5カ月で減少しています。
さらに、NNSが承認した2022年のロードマップには、イーサリアム統合やSNSの展開などの主要な戦略がある。
Titaniumリリースの成功により、Dfinityが野心的な技術ロードマップを実現できる可能性が高まりました。
Titaniumアップデートは、2022年のDFINITYのロードマップ公式記事に説明があります。
NNSへのステーキング
NNSのステーキングは、2021年と比較して2022年は特に好調です。
ニューロンのインデックスがリリースされるまで、ステーキングされたICPの総量は分かりませんが、過去90日間に少なくとも8M ICPが既知のニューロンにステーキングされたことは確かだと言えるでしょう。
新たにステークされたICPは、ゾーン1のNNSから溶出したICPの量に近い可能性があります。
この傾向が続けば、ゾーン2に入ったときに強い供給減少になる。
ICPが40~60ドルより低く取引される理由
新規供給
ゾーン2の新規供給はゾーン1の新規供給よりかなり少ないが、それでもゾーン1以前のNNSから溶解したICPの量よりはるかに多い。
2021年のほとんどの期間、NNSは月に約230万ICPを排出しましたが、ゾーン2では平均して約330万ICPが排出される予定です。
この月間100万ICPの増加は、ICP価格にとって弱気材料となる。
マクロな出来事
ゾーン1以前は、11月にビットコインとイーサリアムが史上最高値を記録するなど、多くの暗号資産マーケットが強気でした。
今、暗号資産マーケットは弱気にあり、また、世界の大半でインフレが進行し、ウクライナとロシアの紛争により市場全体が緊張状態にある。
マクロの視点では、かなり厳しい状況となっています。
まとめ
5月からの新たな供給量の縮小は、過去数ヶ月間ICPを保有していた人にとっては歓迎すべきことである。
2022年前半の価格底打ちと、2022年後半の価格積み上げの可能性が見事に揃っている。
しかし、ゾーン2のストーリーは、ICPの需要の伸びをベースに語られることになる。
ICがICPトークンに大きな需要をもたらす製品・市場適合性を見出すことができれば、NNSから溶解する月間約350万個のICP供給は、新しい需要によって容易に吸収することができるようになる。
DeFi(ビットコインとイーサリアムの統合)、NNSステーキング、SNSトークン化、IC上のNFTの継続的な成長のいずれかから、需要が発生するでしょう。
これらの需要ドライバを組み合わせることで、ICPがデフレになる可能性があります。
(私は以前、流通するICPが2024年にデフレになると予測しました)。
ゾーン2中の供給変動において、ノード報酬やガバナンス報酬が(NNSの溶解に比して)大きな役割を果たすとは考えにくいので、dissolving ICPが供給側で注目すべき指標となるでしょう。
これらを踏まえると、2022年後半にICPが第1四半期よりも大幅に高く取引されるのは合理的だと思われます。
一言コメント
相変わらず、ノード報酬やガバナンス報酬の細かいところまで一次情報をたどり着けていません。
しかし、全体の循環流通量とNNSからのICP溶解を見ていると、kyleさんの予測に賛成で、5月頃にICPが底値かなと感じています。
そして、5月というのは、公式ロードマップによるとビットコイン統合のタイミング。
技術面・安全面の監査には注目していきたいと思っていますが、それでも、需要面の増加を確実に見込めるので、とても熱いですね!
2022年に入ってから数ヶ月間の循環供給量の変化はこちらのとおり。
✓1月1日の循環供給量 196,630,347 ICP
✓2月1日の循環供給量 199,116,549 ICP
✓3月1日の循環供給量 207,687,030 ICP
毎月、数百万ものICPが循環供給量として増加しています。
この増加量を念頭に置いて、次の内容を読むと理解が深まると思います。
なお、元データは IC NETWORK STATUS 、ICP Supply図の”circulating supply”です。